杉並木保護事業

栃木県民にとっては馴染み深い日光杉並木は、世界的にも貴重な文化遺産として知られています。
ここでは、年々減少しつつある日光杉並木の生い立ちから保護活動までを紹介します。

杉並木の生い立ち

日光杉並木は、東照宮が造営された頃に、徳川家の家臣であった松平正綱、正信親子2代により20数年の歳月をかけて植えられたものです。植栽の開始は1625年ですので380年余りの長い歴史が刻まれていることになります。
栃木県が世界に誇る貴重な文化遺産で、わが国唯一、国の特別史跡・特別天然記念物の二重指定を受けており、また、世界で最も長い並木道としてギネスブックに掲載されています。

杉並木の現状

松平正綱により当時植えられた杉は、2万4千本、5万本とも言われています。これが、日光東照宮が杉並木台帳を作成した昭和36年には約1万6千5百本になり、今では1万2千5百本程度になってしまいました。
ここ45年間で約4千本の杉が減少しており、このままのペースで減少し続けると、将来、杉並木の見事な景観が失われてしまう恐れがあります。
杉減少の原因には台風などの自然災害や杉自身の老齢化もありますが、他に通過交通量の増加や街道周辺の開発などによる杉の生育環境の悪化をあげることができます。

バイパスの建設

杉並木街道は観光や地元の方々の生活に欠くことのできない幹線道路で、大変多くの車両が杉並木街道を通過しています。
このため、排気ガスや振動が年々増大し続け、杉並木の健全な育成に重大な影響を与えるようになりました。
栃木県では、杉並木を守るには、この通過車両を減少させることが何より必要と考え、バイパスの整備を進めてきました。
バイパスの整備は杉並木の保護に大きな効果があることから、今後もバイパスの整備を進めていきます。

保護用地の公有化

栃木県では、杉並木街道周辺の開発を防ぎ、並木杉の生育環境を恒久的に保全するため、杉並木街道の両外側概ね20mの範囲の土地を取得する「杉並木保護用地公有化事業」を実施しています。

樹勢回復事業

並木の中には、生育環境の悪化により樹勢が弱ってしまった杉が数多くあります。これらの杉を放置しておきますと、枯れてしまうなどで杉並木の景観が失われてしまう恐れがあります。
そのため、平成8年度から並木杉の樹根の土砂流出を防止し、生育に必要な空気の流通を確保し、土壌を保護する為の木柵を設置しており、新たな細根が生えるなどの樹勢回復の効果が確認されました。
また、以前は地中に中空コンクリート(ポカラ)を設置し、土の踏み固めを防ぎ、杉の根が伸びるスペースを確保するポカラ工を実施し、現在では、杉の下枝の枯れ上がり防止や樹冠の再構築を促す隣接木対策にも新たに取り組んでいます。
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